「宝石の値段って、あってないようなもの！」と、たまに言われることがあります。

確かに、エンドユーザーの方には、その通りかもしれません。石の種類によっても、何百円から何億円までありますよね！ルース（カットされた石）は、品質、重さ、大きさ等によっても、全然値段が違います。また、リング、ペンダント、ネックレスなどの宝飾品は、枠に使われてる地金の種類（プラチナ、１８ｋ、シルバー等）、地金の量、脇石のダイヤの重さ、品質などによっても値段が違います。そして、ブランド（カルティエ、ティファニー等）の者は、同じ素材を使っていても高価です。もう１つ、仕入れ方法や、お店の経費率によっても、価格に影響します。このように、１つの商品の値段を決める要素は、たくさんあって複雑です。

　だから、はっきり言って、一般のエンドユーザーの方には、１つの商品に対して、高い安いの正しい判断がなかなか出来ません。私のような宝石業界に携わっている者でも、長年の経験と、仕入れ買い付けを、常にこなしていて、宝石を見る正しい目がないと、その時の相場観がなく、上手な仕入れが出来ません。で、実際は、皆さんは、自分の価値基準で高い安いを判断して、宝石を買われているのが現実です。このようなことから、宝石業界に不信感を持っておられる方もいると思います。しかし、地球からの贈り物である宝石は、人が作ったものではありません。自然が作り出した傑作品です。そして、ひとつひとつが、人間の顔と同じように、個々に違う希少価値のある商品です。だから、電化製品や車のような規格商品ではないので、厳密にいえば、定価が設定出来ないのは当然です。悪く言えば、店が、自由に値段を付け放題ですが、店側の立場から言うと、値段設定は、お客様に信頼していただく為に、永久の課題であると思っています。

　私が、よくお客様に「宝石を上手に買うには、お値打ちの商品をお買い得な価格で買うには、どうしたらいいですか？」と尋ねられた時は、「信頼できる店で、その店の責任ある立場の人から、値引率に惑わされず、自分のほしい商品と買う値段に納得したら、買われたらどうですか？」とアドバイスします。その他に、後のアフターも、しっかりやってくれるかも大切です。そして、高価な商品は、特に、鑑別書、鑑定書（ダイヤのみ）の添付をしてもらって下さい。店の保証書だけでは不十分です。なぜなら、もし店がなくなって、後ににせものとわかっても、文句を言って行く所がありません。鑑別書、鑑定書は、中立の立場の機関が発行するものですので、買われた宝石に添付されていれば、本物に間違いありません。鑑別書、鑑定書も、紛らわしいものもありますので注意が必要ですが、長くなるので、またの機会にお話します。

　以上のような事を参考にして、あなたが、ぜひ、自分自身が満足のいく、すばらしい宝石を、ゲットする事を願っております。